2010年3月3日水曜日

死を選ぶ権利について考える

 いつものアホな食いしん坊日記とはうってかわって、重いタイトルですみません。
 
 今朝、起きると目がパンパンに腫れていた。あー、昨夜泣きすぎたからだな~。泣いた原因はオットとケンカしたわけでも、どこかが痛かったわけでもなく・・・・、ドキュメンタリー番組Frontlineを観たからだ。"The Suicide tourist"という特集。スイスでは自殺が合法という話は聞いたことがある。自殺幇助する団体があり、依頼者のほとんどは外国人だということも。

 昨夜のドキュメンタリーは、ALSという難病に侵された当時59歳のCraig Ewertさんの最後の4日間を追ったもの。人工呼吸器をつけたCraigさんが、今までの人生や、なぜ「安楽死」という手段を選んだのかという過程などを語る。このまま病が悪化し、家族の介護を受けながら苦しんで死んでいくか、今、死を選ぶか・・・という選択。Craigさんは、後者を選んだのだ。

 チューリッヒのアパートの一室。手に力を入れることができない彼が、自らの歯をつかって、人工呼吸器のスイッチを切る。そして睡眠薬大量に服用。ベートーベンが鳴り響く中、37年間連れ添ったというMary夫人に手を握られながら、息をひきとった。その直前に、Maryさんが、「I love you, see you sometime」とキスをするシーンでは、もう、私、嗚咽は漏れてしまうほど号泣してしまった。(これをかいている今も思い出して涙がポロポロ)

 愛する人を見送る瞬間。愛する人に見送られる瞬間。その瞬間が今日訪れるとわかっている・・・ということ。病気と向き合うつらさ。死を選択するというつらさ。頭の中をいろいろな思いが駆け巡る。
 
 自分だったらどうする?オットや家族に迷惑をかけるくらいなら・・・長く苦しまなければならないくらいなら・・・・とCraigさんと同じような道を選ぶだろうか?
 オットがCraigさんのような立場だったらどうする?彼がもし、死を選ぶ決断をしたとしたら、私はそれに賛成できるだろうか。1日でも長く、体温を感じているだけでいいと思うのではないだろうか?

 自殺幇助について、またこのドキュメンタリーについては、これまでいくつかの国で議論が沸騰していたらしい。
 難しい問題だと思う。どっちがいいか、間違っているのか・・・なんて、すごーく考えたけど、やっぱり私にはわからない。どっちもつらいでしょう。

 あまりに号泣して、いろいろ考え過ぎたため、夜中に何度も目が覚めた。隣で寝息を立てているオットの体温を確認してまた寝た。感情移入しすぎる私にはあまりにヘビーなドキュメンタリーだった。しばらくは脳裏に焼き付いて離れないだろう・・・・・。

 また同じテーマで別の人を追ったものが同じくFrontlineで放送されるようだけど、あまりに激しくリアクションした私にオットはびびり、「観てはいけない」という禁止令がだされてしまった。

6 件のコメント:

  1. 私もダンナとこのトピックについて話し合った事があります。
    私のおばあちゃんが病気でつらくてつらくて
    生きる事をあきらめた時に、お父さんに「殺しておくれ」と言ったみたいです。
    お父さんは「何、言ってるんだよー。」って言ったけど、こんなに辛い思いをするならば、いっそうの事。。。と思ったみたいです。
    安楽死を許す、許さないの問題は今後も消えないと思いますが
    私とダンナは安楽死については賛成です。
    Jack Kevorkianに対しても賛成です。
    寝たっきりで起きる事が出来なくなった私をずーっと看病するなら
    誰かと再婚して、愛情あふれる生活を送って欲しいと思います。
    そんな理解ある事は言ったけど、
    ダンナにも同じ事を言われたら
    「嫌だ〜!再婚なんてしない!長生きしてーっ!」と取り乱しました。(笑)

    私も、戦争映画や虐殺映画、とにかく人がグロテスクに死ぬ映画を観ると、印象に残り過ぎて、当分、落ち込みます。
    でも、今回、Lobsterさんが観たドキュメンタリー番組は「生と死」について考えさせられる貴重なフィルムですね。
    もう、泣かないで下さいね。

    追伸、「朝食をした」と言う最近の内容に対して、コメントを残したのに、残ってないーーーっ!
    よく、コメントを書いた後に「コメントを投稿」を押して、その後に
    「リクエストを処理できませんでした。 もう一度やり直してください。」と言う内容が出るんですが、それかもしれませんね。

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  2. 私もこの記事を読みながら泣きそうになりました。
    どちらがいいのでしょう、、とても難しい問題
    ですよね。私の母も7年間の闘病生活の末に亡く
    なりました。最後はとても辛そうでした。
    私だったら、、、、、、、、、、、、あぁ、
    私まで今晩寝れなそうだわ!(苦笑)

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  3. 見てはいけない宣言されちゃったのですか。
    勿体ないけど、夜も眠れなくなるなら、
    そうなっちゃうかなー。感受性が強いのですね。
    お気持ち、判ります。うんうん。

    むかーしむかし、オーストラリアの語学学校で
    クラスの議題として1度「安楽死」について
    ディシュカッションを設けられたことがあります。
    死と尊厳、そんな話で盛り上がりました。
    「いっそ殺してくれ」と本人は思うだろうし
    「どんな形でも生きていて欲しい」と
    家族は思うだろうし・・・。難しいですね。
    1時間の授業じゃ足りずに、帰ってからフラットメイトと
    そういう話になった記憶があります。

    今、日本では介護する側のうつ病や自殺が
    非常に多くて、そういうのを見るとやはり病気などで
    長々生きて家族を苦しめるくらいなら、
    死んであげたほうが良いのかなと思ってしまいます。
    臓器とか早々に色んな人にあげちゃって、
    死んだ後にこんがり焼き上げて下されば
    それで十分結構です!みたいな。
    でももし家族がそうなったら、
    大変だ辛いとボヤきながらも、心臓が止まるまで
    面倒を見たいと思ってしまいますね。

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  4. 知人のスイス人でガン闘病の末、安楽死を選んだ方がいらっしゃいました
    それを聞いた時、彼の決断とそれを尊重した家族の絆の強さに深い感銘を受けました
    もし自分の立場なら・・・家族のことを考えてその決断ができるか?
    もし自分が家族の立場なら・・・それを受け入れられるのか?
    答えはたぶんその時になってみないと出ないだろうけど、「自分の人生に自分でけりをつける」という選択肢が合法化されているスイスという国はいろんな意味ですごいと思います
    どちらにしても最終決定権は自分が持っていたいと思いますね

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  5. つい先日、映画のMy sister's keeperをみて同じような事を考えてました。もしも自分が病気ならば「周りに迷惑をかけながら辛い思いをするのならばいっそ死にたい」と思うだろうし、もしも家族を看病する立場ならば「一秒でも長く一緒に居たい」と思うでしょう。どちらにしても選択肢があるというのはいいことですね。

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  6. >JaRiphinさん
    JaRiphinさんのお宅でも話し合ったことがあるのですね。答えは出ないけど、深~い議論になりますよね。
    「再婚なんかしない~」と取り乱した(?)JaRiphinさん、カワイイ・・・。でも、想像すればするほど、そういう気持ちになりますよね。私は極端に血が苦手なので、戦争や虐待ものは画面を観ることができません。(貧血になるかも)今回のは、精神的にずっしりと考えさせられました。
    ところで、コメント、残っていましたよ。リクエストを処理できない・・のエラーは私にも時々起ります。だいたい2回目でオッケーなのですが。ご迷惑おかけしてます・・・。懲りずに今後ともよろしくお願いします。

    >junebugさん
    ああっ、眠れなくしてしまってすみませんっ。
    自分が決断する立場だったら・・・決断を応援する立場だったら・・・と考えれば考えるほど、頭の中がこんがらかってわからなくなります。Frontline, 確かサイトからでも見ることができるはずです。興味があったらぜひ。(ティシュのご用意をお忘れなく)

    >yachingoさん
    見てはいけない・・・と言われると見たくなってしまう人間心理。泣くのは目に見えていますが、感じて、考える作業って生きていく上で大切だと思うので、それでもこっそり見ちゃうかも・・・。
    語学学校での議論になったこともあるのですね。確かにこのテーマでディベートをしたらいつまでも終わらなそう・・・。
    yachingoさんの言うとおり、介護をする立場、される立場か・・・によっても、この「安楽死」への受け止め方、感じ方が全然違いますね。私も介護する立場だったら最後まで面倒みるぞと思うでしょうし、逆だったら心苦しい。あーーーー、難しいテーマですね。

    >はとこさん
    私もスイスという国はすごいなと思いました。はとこさんのお友達でそういう決断をされた方がいるのですね。スイスで安楽死を選ぶ方の90%くらいは外国人と聞きましたが、その方は残りの10%なんですね。今回の番組で、決断うんぬんは別にして、自分の国で、自分の自宅でこの選択をできないということがちょっと辛いなと思いました。異国に旅して命を絶つという最期が更に悲しい気持ちにさせました。
    「最終決定権は自分が持っていたい」に同感です。家族を悲しませるのも嫌ですが・・・。アメリカンアイドルを見逃して、偶然みたドキュメンタリー。こうやってじっくり考えることもたまには必要ですね。

    >Ericさん
    あ、その映画まだ見ていないんです。キャメロンディアスが出演しているのですよね?Netflixのリストに入っているので、近々私も観て見ます。
    そう、選択肢があるのはいいなと思いましたが、異国でなければできないというところに壁がありますね。・・・かといって、簡単に合法化されそうな問題でもありませんが。
    いろいろ考えさせられました。機会があったらfrontline、ぜひ見てみてください。

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